第13章 ピスタチオ scene3
どさっと掴んでたカバンが落ちた。
急に足に力が入らなくなって、俺もその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
「和也っ…」
慌てて智が俺のこと抱え上げて、ソファに座らせてくれた。
「智、言って…?俺、何か気に触るようなことした?」
「ごめん…」
智は床に座って俺の手を取って額に当てて俯いた。
「和也はなんもしてない…」
「嘘…ちゃんと言ってよ…」
暫く黙り込んでいたけど、智はやっと顔を上げて俺を見た。
「誤解…してた」
「え…?」
智の手が伸びてきて、俺の頬をそっと触った。
「和也の…オーラの色が…グレーで…」
「え…?グレー?」
「グレーは…俺のこと嫌いな人の色で…」
「え…?え…?何いってんの…?」
「ごめん…だから、俺…和也に嫌われたと思った」
「…そんなわけ無いじゃんっ…」
「うん…」
目が潤んだのを見て、はっとした。
智は…今までそうやってずっとオーラが見えてて。
その上で人と接してきて。
俺には見えないものが見える分、もしかして…そうやって先回りして考えて、たくさん傷ついてきたんじゃ…?
「…勝手に嫌われたと思って、勝手に拗ねて…だから、明日釣りの予定入れてた…逃げたんだよ…和也とぶつかりたくなくて」
「智…それは俺も一緒だよ…?俺も、怖くなって逃げた…」
「ごめん…和也。そうさせたの、俺だ…」
俺の手を握ると、また額にコツンと当てた。