第13章 ピスタチオ scene3
口下手なのはわかってる。
余計なことも言わないのもわかってる。
でも、俺にくらいホントのこと言ってるって、そう思ってた。
俺は自惚れてたんだ…
もしかしたら智は、俺が智を思うほど俺のことすきじゃないのかもしれない。
そうだよ…だって元々は凄く女が好きだったんだから…
って…
「ばかぁ…何考えてんだよ俺ぇ…」
智は俺に、ハジメテくれたじゃないか…!
俺のバカっ…
「ばかばかばかばか!俺のバカ!」
起き上がって思い切り自分の頭をグーで殴った。
「うわぁああん…智ぃ…何で怒ってるのおお…」
今すぐに戻って、智を抱きしめなきゃって思うのに。
謝らなきゃって思うのに。
足がもう動かなかった。
「ごめぇん…ごめん…智…」
ぼふっとそのままクッションの山に倒れ込んだ。
もう何処にも力が入らない…
「ごめぇん…ごめん…」
息ができなくて苦しい。
苦しいのに涙は止まらない。
「…ごめん…」
”和也…”
智の声がする。
”好きだよ…”
俺も、好き…
ねえ、教えてよ…
何をそんなに怒ってるの…?
俺、言ってくれなきゃわかんないよ…