第13章 ピスタチオ scene3
「ち、違う!釣り堀!釣り堀!船なわけねえだろ!?」
「ふうーん…」
前にあんなの行っても楽しくないって言ってたのに…
完全に嘘じゃん。
「あっそ」
「なんだよそれ…」
「別にぃ…」
智は、はあっとため息を付いた。
「元はと言えばおまえのせいだろ…」
「は?」
「もういい。今日来んな」
「ちょっと…!」
その時チーフから声がかかった。
「車の準備できたぞ、ほら、早く乗れ」
無理やり送迎車に押し込まれた。
あっという間に智んちについたら、有無を言わさず下ろされた。
「明後日までに仲直りしてこい。いいな?」
うへえ…わかってたのかよ…
ぶすっとする智は返事もしない。
いつものことだから、チーフは俺に目配せして、そして帰っていった。
後に残ったのは、ぶすくれてる智と大量の誕生日プレゼントと、同じくぶすくれてる俺…
なんにも言わないで智は俺に背中を向けてマンションの入口に向かって歩き出した。
ホントに怒ってる…
…今日誕生日なのに…俺、本当に怒らせちゃった…
でも…なんで俺のせいなんだろう…
なんで智は俺が今日来ないと思ったんだろ。
全然わからなかった。