第13章 ピスタチオ scene3
ちょっと忙しくて、その日はどっちの家にもいけなかった。
水曜は朝からロケあったし…そのあとNHKだったし。
それに身の危険も感じたし…
それからスタジオでリハとかあって会うには会ってるんだけど、俺のほうが仕事が詰まっていて二人でゆっくりする暇なんてなかった。
智の誕生日は今年は日曜なんだけど、なんとVSの収録が入った。
いつも収録する火曜日に、生放送の特番が入って、翔ちゃんが一日潰れるから、収録日がずらされたんだ。
よりによってとは思うんだけど…
年末はだからしょうがないんだよね…
「は~…」
「どうしたんですか?二宮さん」
お台場に向かう車中、マネージャーが運転席から振り返る。
「んー…なんでもね」
あれから…
ちゃんと考えたんだけどさ…
やっぱり俺には下になるのなんて無理だよなあって…
でも、智が俺に全てをくれたんだから、俺も智に全てをあげたいな…とも思う。
「でもなにもこんな忙しい時にさぁ…」
「はい?なんでしょう?」
「あ、いや…なんでもね…」
去年も一昨年も、智の誕生日はコンサートのリハとか当日だった。
まあだからさ…ここ10年はずっとこんな感じだから、今年も誕生日が忙しいのはわかってたけどさ。
よりによって俺に紅白の司会の話が来ちゃったからなあ…