第13章 ピスタチオ scene3
それからは攻防戦で…大変だった。
お互い忙しいから、そんなに頻繁に逢うことはできなかったけど、札幌の夜はもう…ほんと大変だった。
ツアーの一発目なんだから、俺たちも一発決めるぞとか訳のわからないこといい出すし…
一発目なんだから、体調万全にしてないとだめでしょうが…
なんとかごまかして、宥めて…
擦りあいっこでやり過ごした。
札幌から帰って一発目のレギュラー収録の火曜。
汐留のテレビ局に入ると、もう皆揃ってた。
「ん?」
楽屋の隅っこで、翔ちゃんと智がなにやらコソコソしてる。
「おはよ。あれ、何?」
ソファに座ってる潤に聞いてみたら、呆れ顔をした。
「あー…なんか、なあ…」
「へ?」
ちらりと俺の顔を見上げると、潤は相葉さんの顔を見た。
相葉さんはなんだか苦笑いしながら、ソファに寝転がってる。
くいくいと人差し指で潤が呼ぶから、顔を近づけた。
「おまえ…女役じゃなかったの?」
「ぶふぉっ…」
相葉さんが爆笑して、翔ちゃんと智はやっと俺が来たことに気づいた。
「あ、ニノおはよう」
「和也、おはよう!」
なんだかごまかすように智は立ち上がって楽屋を出ていった。