第13章 ピスタチオ scene3
智が巾着を持って俺に差し出した。
ずぼっと手を突っ込んで紙片を取り出す。
智も紙片を取り出すと、二人で一緒に開いた。
「……っ!」
「よし…っ…!」
俺が○。
ってことは智が×。
声にならない叫びを上げながら智はベッドの上をゴロゴロ転がった。
「…やめる?」
そんなに嫌なのかと思って、呟いたらガバッと起き上がった。
「やめないっ!」
「でも、そんなに嫌なんだったら…」
今まで通り、擦り合いっこでもいいじゃん…
今までそれで通してきたんだし、しょうがないじゃん…
「違う…違うんだって…だからぁ…」
智は口下手のは承知してる。
俺とセックスすることが嫌なんじゃなくって、どうしても男としてのプライドが邪魔してるってことはわかる。
現に俺だってそうだし…
やっぱり好きなやつは抱きたいんだ。
「…わかってるよ…でもやっぱり無理強いはしたくないから…」
そう言って智の頬を手で包んだ。
「……おまえ、優しすぎんだろ……」
「え?そう…?」
はぁーっと深い溜め息を吐いた。
そうかと思ったら、ぎゅっと俺の手を握って顔を上げた。
「優しくしてね…?」
真顔で言うから思わず噴き出した。