第13章 ピスタチオ scene3
「智…」
ずずーっと鼻を啜る音が聞こえる。
「ごめんね…でも俺もさ、智のこと抱きたいよ?」
「うう…」
「だからさ…じゃんけんしようか?」
「はえ?」
智が鼻水を垂らしたまま俺を見上げた。
「む、無理」
「ええっ!?」
「だっておまえ、俺がじゃんけんで何出すかわかってんだろ!?」
前に番組で智が何出すかわかるって言っちゃったんだよねえ…
覚えてたんだ…
「だからぁ…あなたはその予想通りに出さなきゃいいだけでしょ?」
「いやだっ!無理!」
「さぁとしぃ…」
もおお!どうすんだよ!
これじゃあ、決まらないじゃないか…!
「じゃあ、ババ抜きは?」
「絶対無理」
「神経衰弱」
「趣味在宅のお前に敵うわけないだろお…?」
「うっさい…海釣地蔵」
「うっせえよ…」
馬鹿脱皮とか服装迷走よりはいいけど…
俺松本潤はでも凄いよな…
「じゃあわかった…くじびきは?」
「…それならいい…」
智がいつも使ってるメモ帳を二枚ちぎって用意した。
そこに○と×って書いて…
智が畳んで、俺から引かせてもらうことになった。
巾着袋を用意して、たたんだ紙を放り込んだ。
「…これで、恨みっこなしだからね?」
「わかってる」