第13章 ピスタチオ scene3
「だって…このままだと、俺たち…できないじゃん…」
すっごい切ない顔で、智は呟いた。
「やっぱ…したいよ、セックス…おまえと…」
「智…」
そうだけどさぁ…
だって、俺も智を抱きたい。
智も俺を抱きたい。
お互い譲らないんじゃ無理じゃん…
「俺…和也が居なくなるかと思ったら、本当に怖くて…」
「智…」
「黒は大丈夫って言ってくれたけど、でも俺…」
やばい、泣きそうになってる。
「おまえが居なくなったら、俺も死のうと思った」
「え…?」
「そのくらい、大事だって気づいた…」
ふうっと息を吐き出した。
「だから、後悔したくない…和也」
「ん…?」
「おまえを、抱きたい」
「智…」
すっごくすごく、真剣な顔で…
こんな顔、久々に見た。
泣きそうになりながらも、一生懸命言葉を紡いで…
俺に伝えようって頑張ってくれて…
「和也…」
ぎゅっと智が俺の胸に顔を埋めて抱きしめてきた。
「俺ぇ…ほんと怖かった…」
「うん…」
泣いちゃった…
智の涙と吐息で、俺の胸が熱い…
元々泣き虫だけどさ…
でも、よっぽど俺が居なくなるかもって思って、怖かったんだろうな…