第12章 ピスタチオ scene2
部屋に入ると、一気に力が抜けた。
「あ~…なんて一日だったんだ…」
ソファに和也を寝かせると、床に座り込んだ。
くたびれて電気をつけるのも億劫だった。
廊下から明かりが漏れてきてたから、このままでいっか…
「ん…?」
暗い部屋の隅にぼんやりと何か居る…
「あ…おまえ、着いてきちゃったの…?」
座敷わらしがもじもじしながら立っていた。
なんか疲れていたから、思わず話しかけていた。
いつもだったら、面倒なことになるから絶対しないのに…
「良かったな。戻ってこれて…」
なんて言ったら、とてとてっと俺達の方に歩いてきた。
寝ている和也を覗き込むと、ぽんぽんと頭を撫でた。
それから俺の顔を見ると、ぺこりと頭を下げた。
”ありがとう”
おかしいな…声、聞こえるな…
”おじちゃん、がんばってね”
がんばる…?何を…?
それだけ言うと、すぅっと座敷わらしは消えた。
「…何だったんだ…」
ふと見ると、和也が目を開けてた。
「和也…」
「智…」
ああ…和也、帰ってきた…
「おかえり、和也」
「…え…?あれ…?」
半身を起こすと、キョロキョロしだした。
「なんで…智の家にいるの…?俺…」