第12章 ピスタチオ scene2
なんか、こんな風景も久しぶりに見た気がする。
こうやって5人で帰ること、なくなってたからかな…
「もーほんと、翔くんはうるさいんだから…」
なんか照れくさいのか、潤はぶつぶつ言ってる。
車が走り出すと、潤は後ろの席に移動してきた。
「なに?寂しくなった?」
「ちーげぇって…」
ぐしゃっと頭を掻くと、和也を覗き込んだ。
「よく寝てんな…」
ぷにぷにとほっぺたを突くと、和也は煩そうに顔を俺の胸に埋めた。
「…おまえ、だから動物に嫌われんだぞ?」
「へ?」
きょとんとしてる顔が面白かった。
「あー…あのさ…」
「ん?」
「さっき、ありがとな…」
「え?いつ?」
「先生の家で…澪に電話しろって言ってくれて…」
「ああ…」
「お陰で、きちんと仲直りできたから…」
「そっか…良かったな」
「やっぱさ…一緒にいるとわかんなくなるっていうか…それに、今、超忙しい時期だし…なんか、澪に甘えてたっていうか…」
「…反省できたんならいいんじゃない?許してくれたんでしょ?澪ちゃん」
「…ん…ちゃんと俺が悪かったって、謝ったから…」
ぽりぽりと潤は鼻の頭を掻いた。
「大野さんのお陰だから…」