第12章 ピスタチオ scene2
「ええっ…じゃあ前回俺に猫が取り憑いたのも…?」
「そうですよ。名前のことや、偶然もありましたがね…そういうこともベースにあるわけです」
「そんな…じゃあ、一生こういうことと付き合っていかなきゃなんないわけ?」
先生がうーんと唸ると、奥様がほほっと笑った。
「身を守る術はあります。ただ、こういうことに立ち向かうことも皆様の運命でもありますから…」
「運命…」
翔くんが呟く。
「そうか…魂の命題…」
「ふふ…そうです。さすが櫻井さん」
「ん?どういうこと?」
「ああ…まあ、こういうことは、俺たち自身が生きてく上で乗り越えていかなきゃならないことって事だ」
…わかったような…わからないような…
「あれだ。守護霊からの宿題ってことだよ」
「ああ…そういうことね…」
潤はわかったみたいだけど、俺にはちっともわからない。
後で和也に話して、解説してもらおう…
それから暫く休んで、チーフの目が覚めたから家に帰ることにした。
「あの思念はもう祓いましたから、暫くは大丈夫ですよ」
「先生、本当にありがとうございました」
見たことないくらいチーフがペコペコしてて、やっぱり行長先生は凄いんだなぁと妙に感心してしまった。