第12章 ピスタチオ scene2
「おっと…忘れていた…」
行長先生が、相葉ちゃんの後ろに立った。
「相葉さん。ちょっと蓋が開いていますね…」
「えっ…なんで!?」
先生はちょっと相葉ちゃんのことを見つめると、首を傾げた。
「…たべ…?」
「えっ…?」
「なんでしょう…人の名前ですか…?」
「たべって…お多部ちゃんのこと?」
翔くんが驚いてる。
「え?多部ちゃんって…今、放送されてるドラマで翔くんの相手役の多部ちゃんってこと?」
潤が聞くと、相葉ちゃんは思い当たることがあったのか、うろたえ始めた。
「せっ…先生っ…もうっ…黙ってて!」
「ははぁ…」
ふふっと奥さんが笑った。
「ジェラシーってやつですわね」
嫉妬のし過ぎで、なんかバランス崩して、蓋が開いてたみたい。
そんなことあるんだ…
「それはいけない…すぐ閉じましょう」
先生が苦笑いしながら相葉ちゃんの頭に手をかざした。
「や…やだぁ…もおっ…」
相葉ちゃんはうろたえながら、焦りながらもくたっとその場に座り込んだ。
先生がにこにこしながら身体を受け止めると、そっと目を閉じさせた。
「眠ってしまいましょう。相葉さん…」