第12章 ピスタチオ scene2
相葉ちゃんが叫ぶと、黒はこっちを見た。
わおんっと一声鳴くと、また黒いものの中に戻ってすぐ頭を出した。
「和也っ…」
和也の襟首を咥えてる!
先生が乱暴に和也の腕を掴むと、ずるりと和也は出てきた。
ぐったりとして意識がないみたいだ。
「受け取ってくださいっ…」
そう言われて一斉に俺たちは立ち上がった。
それを見て先生は一気に和也の身体を黒いものの中から引っ張り上げた。
ずぼっと身体が抜けると、物凄い風と生臭さと、そしてなんだかわけの分からない叫び声みたいなのが巻き起こった。
びっくりして思わず目を閉じた。
「うわああああああああっ…」
「ぎゃぁぁっ…」
もう和也の身体を抱きしめて床に伏せてるだけで精一杯だった。
「もう大丈夫ですよ」
奥さんの声が聞こえるまで、俺たちは伏せたままだった。
「終わりましたよ…」
行長先生の声も聞こえた。
がばっと起き上がって和也を見ると、戻ってきてる…!
「和也ぃっ…」
思わず身体を抱きしめると、和也はちょっと呻いた。
「う…ぅ…くさいよぉ…」
「ぶふぉっ…」
帰ってきて一言目がクサイかよおっ!
確かに臭かったけどさぁ…