第12章 ピスタチオ scene2
「あの光は、とても力がありましてね。だから救ってもらえると彼らは思ったのでしょう」
あの時はなにがなんだかわからないうちに終わったけど…
後から聞いた話だと、一撃で潤に取り憑いてた猫鬼をふっ飛ばしたそうだ。
それほど高尾の御陵にいる人の力は強いのだ。
「今回は助けてくれねえのかな…」
ふふっと先生は笑った。
「それは天のみぞ知ることでしょう」
運次第ってことね…
「それにまだ”黒いもの”の正体がわかっていませんからね…私に調伏できるものでしたら、お出まし頂くこともないですから…」
そう言って先生は和也の頭を撫でた。
「黒、あの”黒いもの”をもう一度私に見せてくれますか?」
そういうと和也は少し考え込む顔をして、わんっと吠えた。
先生はまた目を閉じて、暫く黙った。
”いっぱいいるよ”
頭のなかに、また黒の声が聞こえた。
”いっぱいいるからふくらんだよ”
「ん?なんだって…?」
”いっぱいいるの”
「いっぱいいる…?」
ぱっと先生は目を開けた。
「今…黒が伝えてきてくれたイメージ…」
先生は何やら顔を顰めている。
その時、先生のスマホが鳴り出した。