第12章 ピスタチオ scene2
「戻りましょうか…」
疲れきった翔くんが呟くと、皆でぞろぞろと応接間に戻った。
ソファに和也を寝かせようとしたけど、目を覚ました黒が俺にかじりついて離れない。
「困りましたねえ…」
「わふ」
「黒、大野さんと離れて下さい」
つーんと行長先生にそっぽを向くと、ぎゅうっと俺に抱きついた。
「あの…このまま抱っこしてますから…」
くぅ~んと鳴くと”ごめんね?”って声が聞こえた。
「なに謝ってんだよ…」
ぐしゃぐしゃっと頭を撫でてやると、ますます甘えてくる。
「…では、大野さん。暫くそのままで…」
行長先生が他の3人に目配せすると、皆、次の間へ入っていった。
「智くん、がんばって」
襖を閉める翔くんががっつポーしてった。
「おう」
行長先生はソファに座る俺と和也の横に来て床に座り込んだ。
「さて…じゃあまずは、黒に色々聞いてみましょうか…まだうちの妻のほうは夕食が済んでいないようなので…」
「はい…」
ふぅと息を吐き出すと、先生は瞑目した。
「私には黒の見たもののイメージは視ることができます。大野さんは声が聞こえるから、二人で状況を整理しましょう」
「わかりました」