第12章 ピスタチオ scene2
「じゃあ、あの女の子は…?」
相葉ちゃんが聞くと、先生は頷いた。
「あの子は座敷わらしみたいなものですね…元々山奥の旧家に居たようですが、あのテレビ局ができる時に、召喚されたようです」
「ひえっ…そんなことできるの!?」
「本当は邪道なんですがね…」
なんでもそういう能力に長けた霊能力者が居て、あの座敷わらしと話して納得してこっちに移動してきたというのだ。
「まあ、彼女も楽しそうですからね…それはまあお互い納得の上ならいいんじゃないでしょうか…」
ちょっと先生は呆れ気味だ。
そりゃ幽霊のいる建物は、繁盛するって言うけど…
わざわざ連れてきたのかよ…
恐ろしいことするなあ…
「その彼女と対話をしたんですがね…」
俺と相葉ちゃんが見た、黒いもの。
あれを極端に彼女たちは怖がっていた。
「なぜかと言えば、その黒いものは彼女たちのような彷徨っている魂を吸収してしまうそうです」
「えっ…」
「だから、二宮さんも連れて行かれてしまったのでしょう…」
「そんな…じゃあ、和也はもう戻ってこないんですか!?」
先生はそっと俺の方を見た。
「落ち着いてください。大野さん」
先生の表情は穏やかで…全く焦ってる様子がなかった。
「二宮さんは大丈夫です」
きっぱりと言い切ると、緑茶を啜った。