第12章 ピスタチオ scene2
「やばい…そんな状況じゃないけど…ちょっとおもしろい…」
潤は和也の頭をナデナデしている。
「潤…いいかげんにしろよおまえ…」
翔くんが呆れたように言うと、相葉ちゃんも頷いた。
「あ…ごめんね?大野さん」
「いや…俺もちょっとおもしろいからいい…」
和也は一気にお皿のホットミルクを飲み終えると、満面の笑みを浮かべて潤にお礼を言った。
「わんっ!(ありがとう!)」
「よーしよし…もうこれで終わりだからな?」
「わんわんっ!(もっとくれ!)」
もう…鼻の頭にも口の周りにも牛乳ついてるっつーの…
先生が苦笑いしながらティッシュの箱を差し出してくれて、何枚か取って和也の顔を拭いた。
「きゃん…」
「こら、じっとしてろ」
「あうぅ…」
ほんと…そんな状況じゃないんだけど…
あんまりにも黒が無邪気で…
なんとなく、とてつもなく深刻になることはなかった。
それに、根拠はないけど黒が”大丈夫”って言ったのもでかい。
こいつがそう言うなら、大丈夫なのかなって…
そう思った。
皆飲み終わると、今度は翔くんが食器を下げてくれた。
「先生、お夕飯どうしますか?」
「ああ…すっかり失念していましたな…これだから妻がいないとだめなんですよ…」
ふにゃっと先生は笑った。