第12章 ピスタチオ scene2
目が覚めたら、外はもう薄暗くなっていた。
俺は座敷に寝かされていて、一人だった。
慌てて応接間の方に戻る。
次の間に入ると、皆揃っていた。
「あ、目が覚めた?」
「今どうなってる?」
「まだ…なんとも…」
翔くんも目の下にくまができてる。
襖一枚隔た応接間を皆で見た。
チーフは奥さんに付き添ってテレビ局へ向かったそうだ。
応接間には和也と行長先生だけで、もう三時間以上経っていると相葉ちゃんが教えてくれた。
「大野さん、奥さんがご飯作ってってくれたから、食べたら?」
そう言って潤は隅においてあった台の上のおにぎりを指差した。
「こういう時はきちんと食べないと、な?」
そう言えば、昼飯も食べてない。
朝はいつも食べないから、ずっと何も食べていなかった。
「潤…澪ちゃんに連絡しなくていいの?」
「えっ…」
凄くキョトンとした顔をするからおかしくて…
「さっき喧嘩してただろ…?電話、してやんなよ…」
「いいよ…澪のことは、夜にでもちゃんと…」
「だめ。今、電話しろ」
無理やり、ちゃぶ台の上に出ていた潤のスマホを握らせた。
「…いつ喋れなくなるか、わかんないんだから…」
そう言うと、ちょっと下唇を噛み締めて潤は立ち上がった。
「ありがと。大野さん」