第12章 ピスタチオ scene2
その後、行長先生に状況を説明した。
俺と相葉ちゃんで黒いもののことも伝えた。
絶対によくないものだという直感は、俺も相葉ちゃんも一致していた。
「…もしかしたら、その黒いものに二宮さんは取り込まれたのかもしれません」
「えっ…じゃあ、ニノはまだテレビ局に…」
翔くんが言うと、先生は頷いた。
「可能性はあります。今からそちらに行ってみます。妻が局に入れるよう手配をお願いしても?」
行長先生がチーフに言う。
「わかりました…すぐに手配をします」
奥様はもうかっちりとした淡いクリーム色の着物に着替えてスタンバイ済みだった。
予め打ち合わせをしていたんだろう。
「あちらに二宮さんの身体を連れて行くのは危険です。こちらで私は遠隔で視ますので、大野さん…」
そっと先生は俺の額に触れた。
「…そんなに泣かないでください…」
何言ってんだろ…
俺、泣いてなんか居ないのに…
「リーダー…」
相葉ちゃんがそっとまた、俺の肩を抱いてくれた。
「我慢しなくていいからね…?」
その声を遠くに聞きながら、俺は意識が遠くなっていくのを感じた。
和也…和也…
どこにいるんだよ…
早く…戻ってきて…