第12章 ピスタチオ scene2
今日の収録は中止になった。
行長先生の指示で、とりあえず局は離れたほうがいいってことだったから、皆で行長先生のお宅に向かった。
皆、家に帰っていいって言ったのに、頑固についてくると言い張って、結局チーフと俺たちで行長先生のお宅にお邪魔することになった。
「まあまあ…早く入ってください!」
奥様が迎えてくれて、俺たちはいつもの応接室に通された。
黒になった和也は大人しく俺の腕に抱かれている。
「行長はもうすぐ帰ってきますから…」
そう言って奥さんは和也に毛布をかけてくれた。
「きゅぅん…」
ありがとうと言うように小さく鳴くと、俺の胸に顔を埋めて目を閉じてしまった。
「相当弱ってる…」
奥様は和也の額に手を当てて、目を閉じた。
暫くすると、和也から小さな寝息が聞こえてきた。
「あの…奥さん」
「はい」
「和也、居ないみたいなんです」
「えっ…」
皆、驚いて俺達を見た。
「ウソだろ…?」
「智くん、本当なの?」
潤と翔くんが信じられないというように呟く。
相葉ちゃんは切ない顔をして俺を見てる。
やっぱ、相葉ちゃんにはわかるんだ。
和也がいないって…