第12章 ピスタチオ scene2
「えっ…ちょっと!」
和也は慌てる俺を見て、きょとんとしてる。
「どうしたの!?智?」
「いや…座敷わらしがおまえに抱きついてる…」
「うひゃあっっ…」
慌てて立ち上がったけど、座敷わらしは和也の首根っこにしがみついて離れない。
「ちょっちょっ…取れた!?」
「いんにゃ…」
「うああああああっ…」
「大丈夫だから、落ち着け。なんか、怖がってる」
「え…?怖がってる…?」
「うん…なんかが来るみたくて…それが怖いみたいだ…」
和也はちょっと考え込んでから、そっと自分の胸に手を当てた。
「そっか…」
楽屋の中がしんとした。
”来る”って…何が来るんだ…?
「わ…わわわわ…」
相葉ちゃんの怯えた声が聞こえたかと思ったら、天井おじさんとAD風の女の子までこっちに移動してきた。
「リーダー!そっちいった!」
「おう…」
ふたりとも無表情だからよくわからないけど…なにかに怯えてる…?
俺たちが怯えて集まったように、こいつらも集まってるんじゃないか…?
その時、またパキーンという音がして、楽屋の電気が切れた。
「わああっ…」
「なんだ!?どうした!?」
楽屋の入り口ドアについてる小さな窓から廊下の明かりがもれてきてるだけで、部屋は真っ暗になった。