第12章 ピスタチオ scene2
「あ、あの、大野に代わります」
翔くんはそう言ってスマホを俺に渡してくれた。
「もしもし、大野です」
『大野さん。お久しぶりです』
行長先生の奥さんの声は落ちついていた。
『状況を教えてもらえますか?』
「はい…」
なるべく最初から順を追って説明してみた。
タレントクロークに入ってから、楽屋に集まってくるまで…
奥さんはメモを取っているようだったから、ゆっくり喋った。
その間も、おばけ3人は動かない。
『そうですか…その座敷わらしの子は何かいいたそうにしているんですね…』
「はい…でも、俺には何をいいたいのかまではわかりません」
『わかりました。その子の写真は撮ることはできますか?』
「あ…はい、やってみます」
『行長と連絡が取れ次第、すぐにまた連絡させてもらいますから…』
「よろしくお願いします」
そのあと、もう一回翔くんに電話を代わって。
通話は終わった。
「智くん、写真撮ってもらえる?俺じゃどこに居るんだかわからないから…」
「わかった」
翔くんが画像を送ってくれるってことだから、翔くんのスマホで写真を撮った。
おばけたちは嫌がる訳でもなく、大人しくしてる。