第12章 ピスタチオ scene2
翔くんはポケットからスマホを取り出すと、行長先生に電話をしてくれた。
でもすぐには先生は出なくて…
もう一度電話をすると、今度は繋がったみたい。
「あっ…櫻井です。お久しぶりです」
通話口を覆って翔くんは俺を見た。
「今、奥様に繋がったから…」
「うん」
きゅっと和也が俺の腕に掴まってきた。
「智…一体どうなってるの?」
「今…あっちの隅と、天井と入り口に居るんだ…」
「なんかしてきそうなの?」
ガクガクしてる相葉ちゃんを見てるから、和也も不安になってきたんだ。
「ううん…悪い人たちじゃないんだ。だけど、なんかあるのかも…」
天井おじさんは相変わらず無表情で。
AD風の女の子はただぼーっと突っ立ってる。
座敷わらしは何か言いたそうに着物をぎゅっと掴んで立ってる。
「ええ…なんか今、囲まれてる…?のかな。3人居るそうです」
翔ちゃんが説明してるけど、見えてるわけじゃないから要領を得てない。
「ええ…大野が言うには悪いものじゃないらしいんですが…」
奥さんとなると、話を聞いてもらうくらいしかできないんだろうけど…
「翔くん、電話変わるよ」
「えっ?」
皆が、意外って顔して俺のこと見た。
なんだよ…