第12章 ピスタチオ scene2
和也と相葉ちゃんのメイクが終わって、4人でメイク室を出た。
ちらりと振り返ると、女の子は出口でこっちを見ていた。
「ね、リーダー…」
相葉ちゃんがチラチラ後ろを見ながら話しかけてくる。
「あの子…なんか言いたいんじゃないのかな?」
「えっ…やっぱ見えてたの?」
「うん…赤い着物着た女の子だよね?」
騒がなかった相葉ちゃんに驚いた。
「雅紀」
翔ちゃんが遮った。
「だめだろ?なに同情してんだよ」
「いや、そうじゃなくって…」
「先生に言われただろ?いちいち気にしてたら、またおかしなことになるんだから」
「うん…」
相葉ちゃんはそれでも気になるみたくて後ろを振り返ってる。
「雅紀!」
「まあまあ…翔ちゃん…」
和也が間に割って入った。
「相葉さんもさ…俺たちにはどうにもできないんだからさ…気にしててもしょうがないでしょ?」
「うん…それはわかってるんだけどさ…」
相葉ちゃんが気にするのもわかる気がした。
だってあの子は必死そうな顔をしていたし…
それにいつもだったら、メイク室の隅でにこにこしてるだけだから、あんなの初めてだったし…
っつーか…
今日はなんだかざわざわしてる気がする。
もしかして、相葉ちゃんもそれを感じ取ってるのか?