第12章 ピスタチオ scene2
楽屋に入ると、和也はすぐにメイクに行った。
相葉ちゃんも起き上がることはできたんだけど、ちょっと待ってもらった。
翔くんと二人で廊下を確認して、天井おじさんもAD風の女の子も居なくなっていたから、さっと相葉ちゃんを楽屋から出してメイク室に連れて行った。
「ごめんね?リーダー…」
「いいって。今ならなんもいないから…」
「やっぱ、アレ…本物さんだよね…」
「まあな…」
メイク室に行くと、和也がメイクされながら心配そうにこっちを見てる。
「大丈夫?」
頷いてやると、ホッとした顔をした。
メイク室の入り口で、翔くんと二人で待っていたんだけど…
「ん…?」
いつも、メイク室の隅には女の子がいる。
おかっぱあたまで、赤い着物を着てる。
もう、モロに座敷わらしみたいな風貌で。
その女の子が、和也の傍に立っている。
「なんだ…?」
「どうしたの?智くん」
「いや…」
あの子はずーっとここに居るから、決して悪いものじゃないのはわかってる。
でも今日の様子はちょっとおかしい。
なにか和也に言いたいことがあるみたいに、ずっと傍に立っている。
相葉ちゃんはなんとなく、ちらちらと和也の方を見てる。