第11章 珈琲色
「だから、無理だって俺には…」
「なんでよ!?俺だって無理って思ってたよ?」
「いやいや…だっておまえ…俺がこれつっこんでヒイヒイ言ってるのなんか見たいわけ?」
「うんっ…」
参ったな…
この前の和也の誕生日の時、あんな話するから…
あれから密かに和也は狙ってるんだよな…
俺のバージン…
「オナホ買ってやるから我慢しろよ」
「やだあっ…そんなの…」
ぷりぷり怒って和也は湯船に浸かってしまった。
「違うもん…俺、気持ちよくしてあげたいんだもん…」
「和也…」
「翔ちゃんと相葉さんとこは、最近交代してるんだって。なんでウチは智だけ…」
「オイ…」
雅紀と和也は元々仲がいいんだけど、最近じゃお互いどんなプレイしてるかとかまで話しちゃってるらしくって…
奥様の集いじゃねえんだから…
「えっ…つか、翔くん…」
「そうだよ…この夏の忙しいの終わってから、遂に…」
遂に…喪失したんだ…
あのカタブツが…マジか…
そういえばにゃっとている突っ込まれてるって言ってたしな…
「とーまと潤くんのとこだってさぁ…」
「あーーーもういい、わかった…生々しいからヤメロ…」
手近で済ませすぎな話なんて聞きたくねえぇ…
「俺のこと…愛してないの…?」
「あ?」
「智は俺のこと…オナホだと思ってるの…?」
「何言ってんだおまえ」
「だってっ…」
急に和也の顔が泣きそうに歪んだ。
「おまえなあ…オナホに一晩中つっこめると思ってんの?」
「だって智スケベだもん」
「おまえだってスケベじゃねえか。おまえがもっともっとっていうから、俺だって応えたいって思うし…」
「智…」
ちゃぷんと浴槽のお湯が波立った。
「それに…俺につっこまれてる時の和也は、世界一かわいいし」
「えっ…」
びっくり顔に、浴槽の縁に身を乗り出してキスしたら、顔が真っ赤になった。
「かっ…かわいいって…もおっ…」
じゃぶんとお湯に潜ると、すぐ出てきた。
「わかったよもお…」
「わかればいい」
じゃばっとお湯を被って一緒にお湯に浸かった。
和也が先に入ってたから、俺が和也の前に入って背中から抱っこされるような形になった。