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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第11章 珈琲色


昔と違って張店で着飾ることもないから、髷も結ってない。
あったら抱かれる時、邪魔だから…

洗いざらした髪を後ろでくくってあるだけ。

そんな格好してるの俺だけだから、珍しがって客は抱きに来る。

「皆も工夫すればいいのにね…」
「ん…?」

櫻井さんの腕に抱かれながら、思わずひとりごちていた。

「あ…なんでもない…」

どうしてか、櫻井さんと居ると気が抜けてしまうみたいで…

「何を工夫するんだい?」

そんなこと、優しい目をして聞かれたら思わず答えてしまうわけで…

「うんとね…俺が髷を結わないから、お客さんは珍しがって抱きにくるだろ?だったら、他の奴らも俺のこと妬んでないで珍しいことすればいいんだ…って思ったの…」
「ふ…智は、ほんとにそう思ってるの?」
「…なにが?」

そっと櫻井さんは俺の髪を撫でた。

「それだけで客が智を抱きに来るって思ってるの?」
「…どういうこと?」

床が上手いとは言われたことはあるけど…
そんなの皆、とっくに工夫してるし…

ここに居る皆は十を過ぎて売られてきた人ばかりだから。
皆、そういうことの技量は十分仕込まれてるわけで…

俺だって松にいに散々仕込まれたんだし…

「皆、智に会いたいから来るんだよ…?」
「え?俺に…?」
「そう…ひと目でいいから、会いたいんだよ…」

そっと布団の中で握っていた手を出すと、俺の指に口付けた。

「皆…智が欲しいんだ」
「え…?」

俺が、欲しい…?
だって皆、俺のこと抱いてるじゃないか…
これ以上、何が欲しいっていうんだろ

「櫻井さんも…俺が欲しいの…?」
「俺…?」

口付けた指を櫻井さんは掴み直した。

「欲しいに決まってる」

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