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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第11章 珈琲色


「あの…俺はなんの仕事をすればいいのですか?」

一生懸命働けば、きっと村には災いは起こらない。
この方ならば、俺が男でも約束を違えることはないだろう。

和は山王さまを見上げ微笑んだ。

「…決まっておろう…我が妻となるのだ」
「つま…」

山王さまの腕に抱かれているのに、なぜだか和はふわふわと身体が浮くような感覚に陥った。

「妻って…あの…」

そう言っている間に、サラサラと和の着物は脱がされていく。

寒い祠の中なのに、それを感じなくなっていた。
むしろ、温かい…

「俺…は、男なんですけど…」
「関係ないと言うた」

山王さまの顔が近づいたかと思うと、温かい唇が重なった。

「冷えておる…」

そう呟くと、和の身体を長い袖で包み込んだ。

「山王さま…」

温かくて、思わず和は山王さまの身体に抱きついた。
山王さまは微笑むと、一層深く和を懐にしまいこむ。

身体が芯から温まる頃…

とろとろと和は山王さまの腕の中で眠りに落ちていった。

山王さまは微笑むと、和の身体を大事に自分の着物で包み込んだ。

「和…これより長き時間を我と共に…」

そう呟くと、和の身体を抱きしめた。



次の朝――

村長や長老たちが祠の木戸を開けると、そこには和の着ていた白い着物と被衣だけが残されていた

それからその村では、生贄を捧げる儀式は止めてしまったが、大きな災が起きることはもうなくなった。

村人達は、山王さまの祠の隣に、和のために小さな祠を建てて奉った。

その祠は、いつの時代にか二ノ宮と呼ばれるようになったのだった。




【終わり】
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