第11章 珈琲色
次の朝、目覚めたら翔は既に起きていた
「…おはよ…翔…」
「ん…おはよ…潤…」
いつもなら、ここでキスだけど…
やっぱり翔は俺の腕を抜け出して起き上がった
でも振り返ると、腕枕してた俺の左手を掴んだ
「…あの…潤…?」
「ん…?なに…?」
そっと俺の手を持ち上げると、翔の柔らかい頬に押し当てた
そして恐る恐る、翔は手のひらに唇を付けた
すぐに唇は離れた
「ごめん…今は…」
温かい…
「いい…充分だよ、翔…ありがとうな…」
手で頬を包むと、少しだけ翔の頬が赤くなった
「俺も…してもいい…?」
翔は少し戸惑った顔をしていたが、手のひらを差し出した
「大丈夫…大丈夫だからね…翔…」
そっと手を握ると、唇で指に触れた
すぐに離すと、俺も起き上がった
「さ、飯作るよ」
「うん…」
ありがとう…翔…
ゆっくりと翔を支えてリビングまで歩く
「今日は天気がいいね…」
「ああ…ちょっと、外行ってみる?」
「…今は…」
「ん、わかった。無理はしちゃいけないからな…」
ごめん…と小さな声が背中越しに聞こえた
謝るなよな…
翔は悪くないんだから…
振り向くと、俺を見つめる翔と目が合った