第11章 珈琲色
-潤side-
「翔…おかえり…」
腕の中の翔は眠りに落ちた
…とても美しくて
どんなに翔が汚れたと思っても、どんなに否定しようと…
「世界で一番…綺麗だよ…翔…」
髪に顔を埋めて、そっとキスをする
「ごめんな…守れなくて…」
夫として、翔を守れなかった
そして、お腹の子も…
でも、翔はここに居る
ここに帰ってきた
「どんなことがあっても…もう離さない…」
もう一度、翔の髪にキスすると涙が溢れた
初めて翔に触れた日…
初めて翔を抱いた日…
初めて翔とキスした日…
次々と脳裏に浮かんでは消えた
どんな時も翔は綺麗で…美しくて…
「汚れてなんか…いない…」
できるならあの3日間の記憶を消してやりたい
あいつに引き裂かれた翔の傷を全部消してやりたい
だけどそれを考えることは逃げだってわかってる
「ぜってー…逃げねえからな…」
やっと手に入れた翔との生活
結婚して、太陽を授かって…
絶対にここから俺は逃げない
翔と一緒に、歩んでいくんだ
「ん…」
翔が少し苦しそうな息を吐いた
「ごめん…」
少し翔を抱く腕に力が入りすぎた
そう…ゆっくり…
ゆっくり歩いていこう?翔…