第10章 Coke scene3
「…そうだね…それがいい…」
「ん…じゃあ、俺達のスケジュールとあわせて、セッティングしよう」
玄関に上がりながら、俺の肩をポンポンと叩いた。
「雅紀もママさんに慣れて貰わないと困る」
ぶふぉっと思わず噴き出した。
「こんにちは、弁護士の近藤と申します」
「仁科和也です。今日はありがとうございます」
次の日、近藤先生の事務所を訪ねた。
本当はこちらの家に来てもらう予定だったんだけど、近藤先生の予定が急に空いたのと、俺のオフがあとちょっとしかなかったから、急遽面談することになったんだ。
翔さんも相葉さんも仕事で来れないから、俺が付き添った。
「ほほ…二宮さんと雰囲気が似ている…」
「ほんとですか?」
「まるで兄弟みたいですな」
近藤先生は、用意してあった書類を出してきて、今回の件を説明してくれた。
カズヤはそれを黙って聞いている。
「では、遺留分を請求するということで、心はお決まりなのですね?」
「はい…別に金額にこだわるわけじゃありません。弟にはいっぱい相続してもらって構わない。だけど、俺をこの世に送り出したのはあの人達ですから」
きっぱりと言い切ったカズヤを見て、先生は微笑んだ。