第10章 Coke scene3
「パパは…内藤さんは…どうなったの?」
あれから、カズヤには内藤の話は一切してなかった。
「知りたい…?」
「うん…」
「じゃあ…こうしようか…ママさんと会わない?」
「えっ…?」
「ママさん、新宿のあのお店で元気にやってるよ…」
「そっか…でもママが…」
「ママさんは、いつだっておまえに会いたいに決まってるよ?」
びっくり顔が、また歪んだ。
泣け泣け…いっぱい泣けばいいさ。
「内藤のことはもう気にしなくてもいいんだ…だから、カズヤが自由に会いに行きたければ行ってもいい。だけど、ママさんはそうは考えてない…」
「うん…それはわかってる…」
「でもさ、お店じゃなきゃいいんだろ?例えば外でご飯だっていいんだから…」
「にーの…」
「…その時に、一緒に内藤の話もするよ…どう?」
こくんとカズヤは頷いた。
「そっか…ママさんに会うって?」
夜、帰ってきた翔さんに、玄関先で報告した。
カズヤは部屋にこもって勉強中だ。
「うん。やっぱりカズヤだってずっと気になってたんだよ…」
「ん…なあ、ニノ…」
「うん?」
「あの、小野くんだっけ?カズヤの初恋の彼…」
「うん」
「彼のお墓参り、一緒に行ったらどうだろう…」