第10章 Coke scene3
カズヤは暫く考え込んだ後、頷いた。
とりあえず後日、先生と時間を調整して話し合うことがきまった。
それまでに自分の意志をはっきりさせておくと、カズヤは約束した。
「おし!じゃあ今日はこれで話終わり!ジャグジー入れてくるから、皆で入ろうぜ!」
相葉さんが張り切って立ち上がった。
「お、いいね」
「今日、和と二人でピカピカにしたから気持ちいいよ!」
「わお。嬉しいねえ」
目を細めて笑う翔さんの顔にもホッとしたものが流れた。
相葉さんがリビングから出ていくと、俺も立ち上がった。
「翔さんご飯は?」
「ん。局弁食べたから」
「そか」
カズヤはまだソファで俯いてる。
でも決して寂しいとか悲しいって感じじゃなくて。
真剣に考えてるようだった。
「翔」
「ん?」
「俺が遺産相続放棄したら、全部弟に行くってことなの?」
「ああ。そうだな」
「そっか…」
「でもな、まだ何十年も先の話だからな…もしかしたら状況は変わってるかもしれないし…」
「うん。そうだよね。何焦ってんだろ、あの人達」
くすっと笑うと、カズヤは背伸びをした。
「ばっかじゃない…地獄に金なんて持っていけないのにね」