第10章 Coke scene3
「え…?どういうこと?」
「2年前、お世話になったんだよ」
それだけ言うと、何かを察したのかカズヤは黙った。
「その方が、この件に関して手続きを請け負ってくださると言うんだ」
「え…?」
「…カズヤ、別に放棄してもいいとは思うんだけどな…でも、近藤先生は悪いようにはしないって仰ってる。任せてみないか?」
「翔…」
「もちろん、カズヤがもう縁切りしたいっていうのなら構わない。そのように動いて頂くし…」
ぎゅっと握りしめた拳が見えた。
そっと俺は手を重ねると、少しだけ暗い色をした目で俺を見た。
「どうしよう…にーの…」
「カズヤがしたいようにしな?俺達はカズヤが決めたことを応援するだけだから」
「うん…」
「…近藤先生は、悪い方じゃないよ?それは保証する」
「そっか…」
「この件に関してはね、カズヤはもう成人しているから自分で手続きしなきゃいけないんだって。もちろんご両親に会う必要はないよ?ただ、自分の意思で決めなきゃいけない。わかるね?」
「うん…にーの…」
「近藤先生は、決してカズヤの悪いようにはしないから…」
ぎゅっと手を握りかえされた。
「…一度、近藤先生と話してみたらどうだ?」
「翔…」
「おまえさえ良ければ、先生はこちらにきて話してくれるってことだ…どうする?」