第10章 Coke scene3
夜も9時頃になって翔さんが帰ってきた。
「わりい、遅くなった。カズヤどうしてる?」
「ん。今、勉強してる。呼んでくる?」
「頼む」
カズヤの部屋に行って戻ってくると、リビングで翔さんと相葉さんは神妙な顔をして座ってた。
「翔、おかえり」
「おう。ま、座れ」
「うん…?」
大人しく翔さんの向かい側に座ると、俺の顔をちらっと見る。
「カズヤのご両親から手紙が来たんだ」
「へえ…」
相葉さんは大人しく翔さんとカズヤの顔を交互に見てる。
「で?なあに?」
「うん…」
翔さんが少しだけ身を乗り出して話しだした。
戸籍を分けて、将来来るであろう遺産相続時に権利を放棄するようカズヤの両親が望んでいるということを端的に伝えた。
「なんだ。そんなこと?」
「ああ」
「いいよ。サインすればいいんでしょ?するよ」
最近、少しだけ髪色を暗くしたカズヤは、さらっと髪をかきあげて微笑んだ。
以前はご両親の話が出るだけで無表情になっていたから、ちょっと驚いた。
「まあ、慌てるな」
翔さんは驚く様子もなく、一緒になってにやりと笑う。
「近藤先生という人がいるんだ…内藤の伯父さんに当たる人だ」