第10章 Coke scene3
「ありがと」
「おう。親孝行だろ?」
「ふふ…あ、そういえばさ…」
カズヤが帰ってくる前に話しておかないと…
「ん?」
「カズヤの初恋の話し、ママさんから聞いた」
「えっ…そうなの!?」
「なんか、ヘヴィーだった…」
相葉さんにママさんから聞いた話を伝えたら、黙り込んだ。
「……そっか…死んじゃったのか…」
「事故だったんだって…雪の日で、スリップ事故に巻き込まれて…」
「そう…」
でもママさんは、小野くんの存在があったからカズヤが人を好きになるってこと教えられたんじゃないかって言ってた。
「…若い頃はさ…」
「え?」
「年取ってから身近な人が死ぬのはしょうがないことだけど…若い頃に好きな人が死ぬのは…嫌だな…」
「相葉さん…?」
「消化のしようがねえもん…どうしていいか…わかんなかったんだろうな…」
カランと麦茶の入ったグラスの氷を回す。
「…辛かったろうな…カズヤ…」
ほんとに…こういうところは、凄いと思う。
相葉さんは、本当にストレートに…悲しんだり喜んだりできる人で…
今だってまっすぐに、当時のカズヤを思って悲しくなってんだ。
俺は天邪鬼だから…凄い…そういう所、好きだ…