第10章 Coke scene3
「んー…詳しいことはわかんないけど、カズヤに相続放棄させたいみたいだよ?なんかそのための書類書けとかなんとか…」
「へえ…本気でクズだな…カズヤの親…」
「近藤先生は、でもなんか手があるみたいなこと言ってたし…」
遺留分っていうのがあって、それはどんな遺言状があったとしても、希望すれば必ず貰える権利だそうで。
それを放棄しろと言ってきてるのだ。
「まあ、そっちは専門家におまかせしたほうがいいよな…俺じゃわかんねえし…」
「まあね。…しかし死ぬ前から死んだ後の算段するって、金持ちって大変だね」
「おまえ…他人事じゃねえぞ?俺らも…」
「だって子供居ないじゃん。この先も予定ないし」
「むむ…まあ、そうだけどな…」
「どっちにしろ、もしも今死んだとしたら、俺の財産親にいくだけだし…姉ちゃんとこには甥っ子も居るしさ。別に心配はしてないよ」
「おまえ、案外ドライだよな」
「悪い?」
「いいや…」
くすくす笑って相葉さんは俺の手の甲にキスをした。
「そんな和也さんが好きですよ」
「あら、奇遇ね。俺も好きよ?」
「ナルシストかっ…」
さっきまで泣いてた子がもう笑ってるよ。
ほんと、子供みたい…