第10章 Coke scene3
だから未だに親しい友人の話も聞かない。
一緒に遊びに行く友達はいっぱい居るみたいだけど…
怖いんだと思う。
やっと俺たちには我儘も言うようになった。
でもやっぱり心の奥底の敏感な部分は容易には触れさせてくれない。
「小野くん…か…」
「ふ…俺達も、親としてまだまだだな…」
「ん…」
翔さんが腕を伸ばして俺の肩をポンポンと叩いた。
「母さん、まあゆっくりやっていこうや…」
「父さん、車進みましたよ?」
「ヤベ」
家に帰ったら、まだお昼ごはんを食べてなかったことに気づいて。
「翔さんゆっくりしてなよ。疲れてるでしょ?」
「ん…ああ…」
なんだかボケっとリビングのソファに座って壁を見つめてる。
「どしたの?」
「…いや…カズヤ、ここにどんなメッセージボード作るんだろうな」
「ん…」
俺が昼飯を作ってる間も、翔さんはずっと壁を見つめてた。
やっと出来上がって翔さんを呼ぶけど返事がない。
ソファの背もたれに体を預けて、翔さんは眠っていた。
「もー…疲れてるんじゃん…」
暫く寝かしといてあげようと思ってブランケットを掛けようとしたら、ぐいっと腕を引っ張られてソファに押し倒された。