第10章 Coke scene3
「あ…ニノ」
「ん?」
「あのさ…ママさんにって連絡取れる?」
「ああ…まだあの番号が生きてたらね…」
内藤のおびき出し作戦以来、ママさんとは連絡を取っていなかった。
でも時々新宿のあの店の前を通って、店があることは確認してたから、ちゃんと生きてるってことはわかってる。
「一回、カズヤと会わせないか…?」
「え…?」
「内藤がもう新宿にいないんだったら、大丈夫じゃないかと思うんだけど…」
「…どうだろね…」
「もうあの二人を隔てるものはないと思うし…カズヤだって大人になったんだから、もういいと俺は思うんだが…」
「ま、当人たちの意思じゃないかな…」
俺たちには思いも及ばないことが、あの二人にはあると思う。
試しに前に聞いていた電話番号に掛けてみた。
一発でママさんは出た。
『もしもし!?ニノ!?』
「うを…ビビった…」
『なんかあったの!?カズヤに!』
「い、いえ…今、店の近くまで来てるから、ママさんどうしてるだろうって思って…」
『ああ…よかった…』
ほうっとため息が聞こえた。
今、店にいるってことだったから、近くに車を停めて訪ねた。
「いらっしゃい。何か飲む?」
大男のオカマの素は…何度見ても衝撃的だ。