第10章 Coke scene3
「え?そうなんですか…?」
「でしょうね…だって、新宿のあんなとこであんなでかい家に住んでるんですもんね…」
「ま、私も新宿に事務所を構えて長いのでね…色々存じ上げておりますよ…」
近藤先生は、すこしだけ意地の悪い笑みを見せた。
「取れるものは取りましょう」
「はい…」
「将来、カズヤくんの禍根になるようなことは、なるべく取り除いてあげたいですからねぇ…」
「…ありがとうございます…」
近藤先生はニッコリ笑うと、俺達にお茶を勧めてくれた。
「あの…内藤さんは今…」
「ああ…近いうちにご報告しようと思っていましたが…」
内藤は今、アメリカに居るという。
「…薬物依存の更生プログラムに関しては、アメリカのほうが進んでおります。本人は向こうへの永住を希望しておりますから、もう日本に戻って来ることはないでしょう」
「逮捕歴とか大丈夫だったんですか…?」
「まあ、そこは…色々手を使いました…」
逮捕歴があると、海外移住には不利なはずで。
だけどそこはなんとかクリアしたってことか…
まだ永住権は取れていないらしいが、何年も腰を据えてじっくりと行くということだ。
「あの子には、あちらが合っているようでしてね…」
「でしょうね…日本よりは過ごしやすいでしょうね」