第10章 Coke scene3
今日も仕事が入ってる相葉さんとカズヤを見送ってから、リビングでその封筒を開けた。
「なんだろ…ああ…カズヤの籍を分けたいってよ…」
「うわ…どこまで鬼畜なんだろ…」
「財産分与のこととか書いてる…これ、俺じゃどうにもできないな…」
「あの、内藤の伯父さんの弁護士さんに頼んでみたら?」
一瞬、複雑な顔をしたけど、すぐに翔さんは頷いた。
「やっぱり…事情を知ってる人のほうがいいだろうから…」
俺も翔さんも今日はオフで。
すぐに近藤先生に連絡を取った。
今までカズヤ関係の依頼をしてた先生は、今、海外に留学しているとのことで、ちょうど代わりの先生を探していたところだったんだ。
近藤先生は午後から空いてるってことだったから、二人で新宿の事務所を訪ねた。
「どうもお久しぶりです」
またポーラー・タイを揺らしながら出迎えてくれた。
今までのカズヤに関する書類を全部持参して、先生に見てもらった。
カズヤの境遇は2年前に翔さんが話してくれてて…
でも実際に書類を見た先生は、深い溜め息を付いた。
「子供相手になんと酷い…」
メガネを取ると、少し目頭を押さえた。
「お話はだいたいわかりました…もうカズヤくんが成人しているから、手続きは本人がしないとなりませんねえ…」
「はい…そこは今晩言って聞かせます」
「まあ、カズヤくんの不利になるようなことには致しませんよ…仁科さん、ここいらでは有名な方だから…」