第9章 ミント-before-
「じゃ、なんだよ…」
「んー?誕生日近いじゃん?だから、思い出しちゃったの…あの頃のこと…」
ふっと智は笑った。
「懐かしくなった?」
「ううん…あれからずーっとしあわせだから、懐かしくない」
「へ?」
「嬉しい思い出だからさ…何度だって思い出せる…」
「和也…」
「離さないでね?智」
「…離すわけないだろ…」
ぎゅううっと智は俺のこと抱きしめてくれた。
俺も負けずにぎゅうううっと抱きしめ返す。
「一生…傍に居ろよ…」
「うん…一生傍にいる…」
優しいキスが、降ってきた。
「笑って…?和也…」
「ん…」
智の腕に包まれて、とってもしあわせで…
だから心から笑うことができた。
智も俺の顔見て、にっこり笑ってくれて…
「抱いて…?智…」
そういうと、今度はにんまりと笑った。
「今日は寝かさねえぞ?」
ああ…堪んない…
智の手で、智にだけ感じるようにこの8年、身体を作り変えられた。
でもね…智…
「めちゃくちゃに…して…?」
俺にだけ感じるように、智の身体を作り変えたのは、俺だよ?
智がだいすきな俺の泣き顔も、笑顔も…
智を離さないために俺は一生懸命覚えたんだよ?
あなたを逃がさない
一生傍に居させるためなら、俺、なんだってするからね
智が俺の手をとって、甲にキスした。
「めちゃくちゃにしあわせにしてやるよ…」
「さとしぃ…」
ああ…もう…
本当にだいすき…
でも、あなたも同じくらい俺のことだいすきじゃないと許さない。
だから…もっと淫らになる。
もっともっと淫らになって、一生誘惑し続けてやる。
「しあわせに…して…?」
俺の言葉で蕩けそうになる顔も…全部、俺のもの。
今年の誕生日プレゼントも、あなたをちょうだい
それが、一番のプレゼントだから…
【END】