第9章 ミント-before-
「おっ…大野さんっ…あのっ…」
「なんだよ」
玄関の鍵を開けて俺を押し込むと、満足げに笑った。
「だからっ…なんなの!?」
「なんなのって…言ったろ?もう離さないからなって」
「えっ…ええっ…!?」
いきなりドアにドスンと身体を押し付けられた。
壁ドンみたいな体勢になってじっと舐め回すように俺を見る。
「キス…しろよ…」
「お…おのさぁん…」
もうどうしていいのかわからないよお…
泣きそうになってたら、大野さんがくいっと俺の顎を持ち上げた。
そのまま唇が重なって…
これって…大野さんも俺のこと好きってことなの…?
「口、開けろよ…」
「待って…待ってっ…」
「なんだよ」
「大野さんは俺のこと好きなの?」
「うん」
「えっ…」
そんなあっさりと…
「何だと思ってたの?好きじゃなきゃ男にキスなんかしねえだろ?」
「そ、そうだけど…」
もお…なんなのよ…
こんな人だっけ?大野さんって…
力が抜けて、ずるずるとドアを伝って叩きに座り込んだ。
「もおおおお…」
「和也?」
「おばかぁ…」
なんだったんだろ…ずっと…ずっと隠してきたのに。
ずっと気づかれちゃダメだって思ってたのに…
俺たち両思いだったんじゃないか…