第9章 ミント-before-
離さない…?
どういうこと…?
大野さんの手が俺のシャツに掛かった瞬間、控室のドアが開いて遅れてた松潤が入ってきた。
「おはよー。またじゃれてんの?」
それからマネジャーやらスタッフさんやらが入ってきて、控室はガヤガヤしだした。
大野さんは俺からすぐに降りてなんでもない顔をして向かいのソファに座ってる。
俺は心臓のドキドキが止まらなくて、シャツの胸元をずっと掴んでた。
今…何が起こった?
夢でも見てたの?
訳がわからないままその日は過ぎていって。
夜もとっぷりと暮れて解散になっても、まだ俺はふわふわしたままだった。
着替えて荷物を持って控室を出ようとしたところで腕を掴まれた。
振り返ると、大野さんが居た。
「…え…?」
「え、じゃねえよ。行くぞ」
俺の腕を持ったまま強引に歩き出した。
「…ど、どこにっ…」
「俺んち」
「なんでよっ…」
「は?」
歩いたまま、ちらりとキャップのつば越しに大野さんが俺を見た。
「決まってんだろ」
なにが…?何が決まってるの?
引きずられるようにして大野さんと一緒の送迎車に載せられて、大野さんの家に連れてこられた。
「早く、歩け」
背中を押されるようにマンションの中に連れて行かれた。