第9章 ミント-before-
「だ、だ、抱き心地って…!」
ぶんっと手を振り上げて胸板を叩こうとしたら、その手をがしっと掴まれた。
「ぼーりょく反対」
「んなっ…あんたがこんなことするからでしょお!?」
「おまえが悪い」
「えっ…?」
そのまま大野さんはソファから立ち上がった。
スタスタ歩いて控室から出ていってしまった。
「……なんなのよ……」
心、かき乱さないでよ…!
結局俺は、国立ライブの間中イライラしてた。
あれから大野さんは俺に近づこうともしないで、相葉さんや翔さんと一緒にいる事が多い。
たまにエレベーターで一緒になっても、ヘラヘラしちゃってさ…
メイキングのカメラが入ってるから、楽屋や控室じゃ普通にしてるけど、イライラしっぱなしだった。
「なにそんなツンツンしてんの…」
潤くんに呆れられたけど、どうしようもない。
なんで俺がいけないのよ。
俺、なんかした?
なんなのよ…なんなのよ…
結局、イライラしたまま初国立は終わった。
それからすぐにアジアツアーの準備に入って。
ライブの構成は基本変わらないから、会場ごとの変更点を頭にいれるだけで楽だった。
でも俺にはドラマの撮影があったりして、ちっとも休まらない日々。