第9章 ミント-before-
大野さんの体温がダイレクトに感じられて、焦る。
「な、何してんのよ!?」
「これも貸して」
「ななんで!?」
「安心するから…」
24時間が終わって、まだドラマの撮影も残ってて…
コンサートのリハと、全く余裕のない日々を送ってる。
あの日から、大野さんは自分を卑下するようなことは言わなくなった。
だけど、より無口になって…
時々、大野さんが大野さんじゃないんじゃないかって不安にかられるほど…
大野さんは”成瀬”に取り憑かれてた。
「…安心…できないの…?」
それには、答えなかった。
暫くすると、大野さんは深い眠りに落ちていった。
大野さんの体温が、腿から身体をじんわりと熱くする。
ずっとリハのDVDを見てたけど、集中なんてできなかった。
手が…熱いよ…大野さん…
「ニノ、起きろよ」
身体を揺らされて目が覚めた。
いつの間にか寝てたのか…
「ちょっと、智くん?起きて?」
翔ちゃんの声でやっと意識が戻ってきたけど…
「なにこれ…」
ソファに横になってるんだけど…
なんで俺、大野さんの腕の中にいるんだ…?
頭の下に腕を通されて、腕枕まで…
「ん…ああ…おまえ、抱き心地いいのな…」
大野さんは何事もなかったかのようにけろっとしてる。