• テキストサイズ

カラフルⅣ【気象系BL小説】

第9章 ミント-before-


ぐにゃりと大野さんの表情が歪んだ。

「だいたいなんなのよ…いつもいつも俺なんか俺なんかって…あんたそんな気持ちでいつも仕事して…今まで蹴落としてきた連中のこと何だと思ってんの?」
「蹴落とす…」
「そうだよ…事務所やめていったやつら…売れなかったやつら…俺達はそんな奴らの屍の上に立ってんだよ」

こんなこと…言いたいんじゃないのに…

初めての主演ドラマで不安になってるんだろう。
だから、大丈夫だよって…

本当は言ってあげたいのに

「あんたがそういうこと言うのは…裏で血を流してきた連中に失礼なんだよっ…」

俺もその中のうちの一人だなんて、言えない。

この人の持ってる才能は、俺にはないもので。
多分俺が一生持ち得ないもので。

役者をやっている連中からしたら、喉から手が出るほど欲しいものなのに…

それなのに辞めたがって…逃げて…

「卑怯者…」

こんなこと…言ってもなにもならないのに…
止まらなかった。

「一生そうやって逃げ回ってればいいだろ!?」
「ニノっ…」

突然腕を引かれて大野さんの胸に抱きとめられた。

「な…なんだよっ…離せよっ…」
「ニノ…」
「離してっ…」

苦しいくらい抱きしめられて、息もできない。

「なんで…泣くんだよ…」

いつの間にか涙が頬を伝っていた。

/ 1000ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp