第9章 ミント-before-
ごめん…大野さん…
本当は俺だってあなたに自由で居てほしいよ…
だけどさ…それを認めたら…
俺はあなたにもう二度と会えないだろう
会うことができなくなるだろう
密かに思うだけのこの気持ちは、行き場がない
だから…あなたをここに縛り付けておきたいんだ…
「…ごめん…ニノ…もう言わないから…」
「知らない…」
「ごめんな…」
「知らないもん…」
大野さんは身体を離して俺の顔をじっと見た。
「…ちゃんとやりきるから…ね…?見てて、ニノ」
大野さんの指が俺の頬を拭っていく。
「俺、知らないもん…」
「わかったから…な…?」
後から後から涙はこぼれ出て、止まらなかった。
不意に大野さんの顔が近づいてきたかと思ったら、目尻に溜まった涙を吸い取っていった。
「…っ…なにすんのよっ!?」
「ニノの涙って…綺麗だなと思って…」
「はあ!?綺麗なら舐めるわけ!?気持ち悪っ!」
「あ、そういうこと言うなよ…」
「やーだ!もう!近寄るな!」
「にーのぉ…」
唇の感触が、気持ちよかった。
温かかった。
いつまでもほてりが引かない顔を、ずっと大野さんから逸し続けていたら、いつの間にか笑ってた。