第9章 ミント-before-
最近…避けられてる。
嵐のメンバーとしては、普通に接してる。
なんならじゃれあいが過ぎて、怒られたことだってある。
昔は仕事終わりに一緒に飯いったりとかはしてたけど、最近は送迎も個別になってそういうこともなくなった。
だから、俺から誘ってみてるんだけど…
一向に乗ってくれなくなった。
俺んちにも遊びに来てくれないし、遊びにも乗ってこない。
避けられてると思うのは、あまりにも悲しすぎて。
だから、今日までそう思わないようにしてたんだ…
でも…
もしかして大野さんは、俺の気持ちに気づいているのかもしれない。
「それでは大野さんのカットから参りまーす!」
大野さん
「壁に叩きつけるところから、リハいきまーす!」
俺、あなたのことが
「よういっ…」
すきなんだ
大野さんのスーツの襟を掴んで壁に叩きつける。
逸した顔が、ゆっくりと俺の方に向く。
がらりと表情を変えた大野さんは、”成瀬領”だった。
なんで…
こんなにも才能を持っているのに、あなたは逃げたがるんだ
卑怯だ
あなたはもっと苦しむべきだ
もっと苦しんで…俺と同じ場所に立っているべきなんだ
「…見ていてください…真実は、一つしかないのですから…」