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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第9章 ミント-before-


「それでは回します!よういっ…」

撮影が始まった。

ほんとに短いシーンだったけど、カットは細かく分かれてて。

高架下の薄暗い中、撮影は進んでいった。

「では次のカットは…」

助監さんが俺と大野さんの所まで来て説明してくれる。

「まず、大野さんのアップを撮って、それから俺のアップね」
「はい。大野さんのアップは3カット。二宮さんは2カットいきますので」
「はい。了解」

助監さんも山田太郎のときに一緒に仕事をしてた人だから、気心が知れてて。
ちょっとじゃれたりしながらからかってたら、大野さんは無言で離れていった。

「…大野さん?」

返事もしない。

「あー…役、はいってるんすかね…」
「ん。あの人たまにぼーっとするからさ。フォロー頼むね」
「いえいえ…じゃあ、そろそろ戻りますね」

助監さんが戻っていって、俺と大野さんはぽつんと立ち位置に取り残された。

「ね…大野さん?」

やっぱり、返事もしてくれない…

「俺のこと、嫌いなの…?」
「…えっ?」

思わず…ほんとに思わず、心の声が漏れ出て…
小さな声だったのに、大野さんはびっくりしてこちらを見た。

その時、メイクさんが来て…
俺達の会話は中断してしまった。

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